クラウンスポーツは、トヨタが「新しいクラウン像」として打ち出した挑戦的なモデルです。
SUVの力強さとクーペのようなスタイリッシュさを兼ね備え、街中での存在感は抜群。
発売当初から注目を集めてきました。
しかし、実際に乗ってみると「高級車なのにここは物足りない」「使い勝手がいまいち」といった声も少なくありません。
特にリアドアの利便性や後部座席の居住性、ピアノブラックパーツの扱いにくさなど、実用面での不満がオーナーから挙げられています。
一方で「気にならない」「スタイルを考えれば仕方ない」と擁護する意見もあり、評価は真っ二つ。
つまりクラウンスポーツは、どんな使い方をするかによって満足度が大きく変わるクルマなのです。
この記事では、実際の口コミやオーナーの声をもとに「クラウンスポーツの不満点」を整理しつつ、購入を検討するうえで注意すべきポイントを分かりやすくまとめました。
リアドア・フェンダー周りの不満(改良前モデルの話)

クラウンスポーツに乗ってまず感じるのが、リアドアの使い勝手の悪さです。
高級車という価格帯でありながら、後席のドアにスマートエントリーが付いていないのは正直ガッカリしました。(改良前モデルの場合)
前席ではスマートに解錠できるのに、後席ではいちいち運転席や助手席から操作しないといけない。
これが日常のちょっとした場面で地味に不便なんです。
特に家族や友人を後ろに乗せることが多い人にとっては、「なんでクラウンでこんなことに?」と首をかしげたくなるポイントだと思います。
さらに、リアドアを開け閉めするときの「音」にも気になる点があります。
ドアを閉めた瞬間、軽い「ボンッ」という響きがするんですが、この音がどうにも安っぽい。
ディーラーの話によれば、リアフェンダーは樹脂製で軽量化のための設計らしいのですが、その分どうしても音の質感に欠けてしまうのだとか。
樹脂素材を使うのは仕方ないにしても、クラウンブランドを名乗る車にしては少し配慮が足りないように感じます。
実際にオーナーの中には「指で押すと簡単に凹む」「リアフェンダーのせいで音が響く」といった声もあり、やはり多くの人が同じように違和感を抱いている様子。
もちろん「ディーラー設定で全ドアを一括開錠できるから気にならない」という意見もありますが、それはあくまで応急処置的な解決策でしかありません。
せっかく590万円以上もする高級モデルに乗っているのに、N-BOXのような軽自動車でも当たり前に備わっている便利機能が抜けている…。
このちょっとした差が、クラウンスポーツに期待していた人ほど大きな失望につながっているのではないでしょうか。
ピアノブラックパーツの弱点

クラウンスポーツの内外装で気になるのが「ピアノブラック仕上げの樹脂パーツ」です。
見た目は確かに高級感があって、ショールームで新車を見たときは「おぉ、カッコいい」と感じる部分なんですが、実際に乗って生活の中で使ってみると、この素材の弱点が容赦なく目についてしまいます。
まず一番厄介なのが 指紋と水垢。ドアを閉めるとき、どうしても人によってはその黒い部分を掴んでしまうんですよね。そうすると、白っぽい指紋がベタッと残る。特に光が当たると余計に目立って、「あれ、こんなに汚れてた?」と一気にテンションが下がります。
さらに雨上がりや洗車の後には細かい水垢が浮き出てきて、せっかくのピカピカなボディが台無しに…。これを毎回拭き取るのは本当に面倒です。
そしてもう一つの大きな不満は 傷がつきやすいこと。ラゲッジ周りや下部にもピアノブラックが使われているため、荷物を出し入れすると靴やバッグが触れてすぐにスリ傷だらけになってしまいます。
黒だからこそ光の加減で目立つし、一度ついたらなかなか消えない。新車のときはピカピカでも、1年も経たないうちに「年季の入った車」みたいな雰囲気になってしまうんです。
実際のオーナーの口コミでも「ピアノブラックは傷が気になる」「洗車してもすぐに汚れが目立つ」といった声が多く、共感する人が多い部分だと思います。
もちろん「仕方ない」「見た目がいいから我慢できる」という意見もありますが、毎日使うクルマだからこそ、扱いやすさを優先してほしかったというのが正直な気持ちです。
ヘッドライトと安全装備の物足りなさ

クラウンスポーツのフロントマスクは、とにかくカッコいい。
鋭いデザインのヘッドライトがこの車の存在感を一気に引き上げているのは間違いありません。
夜に点灯したときの見た目もシャープで、「これぞ最新のクラウンだ」と思わせてくれる部分です。
明るさ自体も十分で、ロービームもハイビームも必要な性能はしっかり備えています。
でも、細かく見ていくと「ん?」と首をかしげたくなる点があります。
それが コーナリングライトが非搭載 なことです。
高級車なら当然あるだろうと思っていた装備が省かれていて、夜道を曲がるときの安心感に物足りなさを感じます。
特に狭い住宅街や暗い峠道を走るとき、コーナリングライトがあれば死角を照らしてくれるので運転がグッとラクになるのに…。
過去にコーナリングライト付きの車に乗ったことがある人なら、余計に「どうして付けてくれなかったんだろう」と不満が残るはずです。
もちろん「LEDで明るいから十分」と感じる人もいるでしょう。
ただクラウンというネームバリューと車両価格を考えると、ここは削ってほしくなかった部分だと思います。
せめて上級グレードかオプションで用意してくれていれば、ユーザーの満足度は大きく変わったはずです。
実際の口コミを見ても「ヘッドライト自体は優秀だが、細かい安全装備が不足している」と指摘する声がありました。安全性能はどんな車でも重要ですが、高級車だからこそ「不安を感じさせない配慮」が求められるのではないでしょうか。

フロントデザインの完成度は文句なし。でも乗る人の安心感を考えると、あと一歩の安全装備が欠けているのは惜しいと感じます。
後部座席の居住性に不満が


クラウンスポーツに乗り込んで最初に「おや?」と思うのが後部座席の狭さです。
足元は意外と広く、拳が2個以上入るほど余裕があるので、レッグスペースに関しては不満は少ないでしょう。
ところが問題は 頭上のスペース。これが想像以上にタイトなんです。
もし180cmを超える人が座れば、ほぼ確実に頭が天井に当たってしまいます。
後部座席は多少の窮屈さは仕方ないと思っていましたが、クラウンという高級ブランドを考えると「もう少し余裕を持たせて欲しかった」と感じてしまいます。
さらに快適性の面で気になるのが エアコンのゾーン設定。
フロントは左右独立で温度調整ができますが、リアは独立しておらず、前席と一緒の温度設定に縛られます。
この価格帯のクルマなら「3ゾーンエアコン(運転席・助手席・後部座席)」くらいは欲しいところです。
夏場や冬場に後部座席の人が「ちょっと暑い」「ちょっと寒い」と感じても、自分で調整できないのは正直不便。
口コミでも「デザインを優先した結果、居住性は割り切りが必要」「ファミリーカーとして使うには後席が狭い」という声がありました。
一方で「クラウンスポーツはスタイル重視だから仕方ない」と擁護する人もいて、評価が分かれるポイントです。
収納・快適装備への不満


クラウンスポーツに乗ってしばらくすると、「あれ?置き場がない…」と感じる瞬間が出てきます。そう、収納の少なさです。
高級車だから「上品さ」を重視したのかもしれませんが、日常で使うとどうしても不便さが目立ちます。
まず気になるのは 小物の置き場。
サングラスや眼鏡を収納するスペースが見当たらないんです。
夏場やドライブでは必須アイテムなのに、結局ワイヤレス充電器のスペースやドリンクホルダーに無理やり突っ込むしかない…。
このあたりは、同じ価格帯の輸入車やレクサスではもう少し配慮されている部分なので、余計に物足りなさを感じます。
そしてその ドリンクホルダーの数も少なめ。
前席は2つだけで、後部座席には十分な数がないので、家族や友人を乗せると飲み物の置き場所に困ることがあります。
高級SUVと考えると、このあたりはもっと実用性を意識して欲しかったところです。
さらに痛いのが ワイヤレス充電器の使い勝手。
最近のiPhoneユーザーでMagSafe対応ケースを使っている人は多いですが、その状態だと充電が途切れることがしょっちゅう。
しかも充電速度も遅く、バッテリーが「減らない程度」でしか機能しません。
結局ケーブルで繋いだ方が確実に早いという、本末転倒な状態になっています。
口コミでも「過去最低レベルのワイヤレス充電」「全然実用にならない」との声が出ていて、これは多くのオーナーが同じ不満を抱えているポイントです。
収納や充電といった快適装備は、一見すると些細に思えます。
でも毎日乗るからこそ地味にストレスが積み重なる部分。
クラウンという特別なブランドだからこそ、もう少し使い勝手に配慮してほしかったと感じます。



走りやデザインは一流なのに、日常使いの便利さでは「ん?」と首をかしげてしまう。高級車にこそ、こういう細部の快適性を求めたくなります。
内装・部品共通化のがっかり感


クラウンといえば、昔から「特別感」を大事にしてきたモデルです。
だからこそ、実際に乗ってみて「あれ?」と驚かされたのが 内装パーツの共通化でした。
具体的には、ルームライト。
点灯したときは白色LEDで明るく機能的には全く問題ないのですが、よく見てみると カローラクロスと同じ部品 が使われているんです。
もちろん共通部品はコストを抑える上で仕方ない部分もありますし、最近のトヨタ車全般で戦略的に取り入れられているのも理解できます。
ですが「クラウン」の名を冠した車で、しかも価格帯が600万円前後ともなると、ユーザーは「特別な仕立て」を期待してしまうんですよね。
オーナーの中にも「クラウンは特別であってほしい」「他の大衆モデルと同じ部品はちょっと萎える」という声がありました。
一方で「共通化は時代の流れ」「壊れにくくなるし、コストも下げられる」と擁護する意見もあり、ここは価値観が分かれるポイントです。
ただ、正直なところカローラクロスやハリアーと同じ部品が付いていると「せめてデザインくらいは変えて欲しかった」と思ってしまいます。
ルームライトに限らず、ピアノブラックや樹脂パーツなど「見た目の高級感はあるけど中身はコストダウン」と感じる部分がちょこちょこ顔を出す。
これはクラウンに「完璧さ」や「一段上の存在感」を求めるマニアにとっては、受け入れがたい現実かもしれません。
結局のところ、クラウンスポーツは「特別感より実用性やデザイン性に振ったモデル」という立ち位置なんでしょう。ただ、それを知らずに「従来のクラウンの延長」として購入すると、どうしてもがっかりする部分が出てきます。



共通部品自体は悪くない。でも“クラウンらしさ”を求めると物足りない。マニアほど敏感に反応してしまう部分だと感じました。
後方視界と安全性に不満


クラウンスポーツは外から見ると本当にスタイリッシュで、クーペライクなフォルムが最大の魅力です。
街で見かけても「おっ」と目を引く存在感があります。
でも、実際に運転席に座って後ろを振り返ると、そのデザインの代償をまざまざと感じる瞬間があります。
それが 後方視界の悪さ。
リアの窓が小さく、斜め後ろの死角が大きいんです。
バックミラー越しに見える範囲はかなり限られていて、特に車線変更や駐車のときに「ちょっと怖いな」と思うことがありました。
デザイン優先なのは分かりますが、安全性に直結する部分なので、ここは正直もう少し配慮してほしかったところです。
口コミでも「CHRみたいに後ろが見づらい」「窓が小さすぎる」といった声が出ており、多くのオーナーが同じ不満を持っている様子。
もちろん最近の車はバックカメラやセンサーが充実しているので致命的な問題ではないのですが、やはり「目で確認できる安心感」とは別物です。
さらに惜しいのが、クラウンというブランドの持つイメージとのギャップ。
クラウンといえば「大人が安心して選ぶ上質な車」という印象が強いのに、スポーツ色を強めたことで安全性に不安を感じさせる部分が出てしまった。これは購入層によっては納得しづらい点でしょう。
もちろん「デザイン性を優先した結果だから仕方ない」「スタイリッシュさを取るか、視認性を取るか」という割り切り方もあります。
実際、外観に惹かれて購入した人にとっては「多少の視界の悪さは気にならない」という意見も少なくありません。



後ろが見づらいと分かっていても、このデザインには抗えない…。でも毎日運転する立場からすれば、安全性を犠牲にするのはやっぱり惜しいと感じました。
まとめ


クラウンスポーツは見た目や走りに魅力がある一方で、実際にオーナーが感じる不満点もいくつか浮き彫りになっています。
ここまでの内容を整理すると以下のようになります。
- リアドアの不便さ
高級車なのに後席スマートエントリーが非搭載(改良前モデルの不満点)。 - ドアやフェンダーの質感
樹脂製フェンダーの影響で閉める音が安っぽい。 - ピアノブラックの扱いにくさ
指紋や水垢が目立ち、ラゲッジ周りは傷だらけになりやすい。 - ヘッドライト装備の物足りなさ
十分な明るさはあるが、コーナリングライトがなく不安を覚える人も。 - 後部座席の居住性
足元は広いが頭上が狭い。3ゾーンエアコン非対応で快適性が不足。 - 収納の少なさと充電性能
小物入れやドリンクホルダーが少なく、ワイヤレス充電は実用性に欠ける。 - 内装の共通部品
ルームライトがカローラクロスと同じで“特別感”が薄れる。 - 後方視界の悪さ
デザイン優先のため窓が小さく、死角が多い。CHRのようだと感じる人も。
クラウンスポーツは「スタイルやブランド性に惹かれる人」には間違いなく満足度の高い一台ですが、「居住性や実用性を重視する人」にとっては物足りなさを感じる部分もあります。



クラウンスポーツは本当にカッコよくて魅力的。でも“クラウンらしさ=安心感と快適性”を求めると、少し裏切られた気分になる瞬間があります。デザインを取るか、実用性を取るか――この車はそこをハッキリ選ばせる一台だと思いました。