「V12エンジンを積んだ最後のフェラーリになるかもしれない――」
そんな噂とともに、812スーパーファストは登場しました。
その名の通り、“スーパーに速い”このクルマは、ただのハイスペックマシンではありません。フェラーリの伝統、哲学、情熱がすべて詰まった1台です。
今回は、812スーパーファストの魅力をデザイン・性能・乗り味・希少性の4つの観点から、わかりやすくお伝えします。
1. 息を呑む存在感。芸術品のようなデザインに込められた哲学
812スーパーファストのボディは、ただの「速いクルマ」ではありません。
それは機械と芸術が融合した“動く彫刻”です。
まず目を奪われるのは、その伸びやかなボンネット。
長く美しいこのノーズは、巨大なV12エンジンを格納するためのものですが、視覚的にも「王者の風格」を演出しています。
そしてサイドからリアにかけて流れるライン。これは空力だけでなく、「フェラーリらしさ」を言葉ではなく“形”で語るラインです。
特にリアフェンダーの張り出しは、F1マシンを彷彿とさせるグラマラスなボリューム感。まるで獲物を狙う肉食獣の筋肉のような力強さが漂います。
フォルムは美学だけではない──“機能美”の集大成
812には、フェラーリの最新空力技術「アクティブ・エアロダイナミクス」が盛り込まれています。
ボディ各所に配置されたエアインテークや排出口、フロントグリル内の自動開閉式フラップなどは、速度や冷却状況に応じて形を変え、空気の流れを最適化。
これにより、高速域でも車体が路面にしっかり吸い付くような強烈なダウンフォースを発生させる一方で、余計な空気抵抗は巧みに逃がします。
つまり812のボディは、美しさと速さを両立させる“機能美”そのものなんです。
フェラーリデザインの粋──ピニンファリーナからの進化
なお、812スーパーファストのデザインは、これまでのパートナーだった「ピニンファリーナ」ではなく、フェラーリ内製デザインセンターによって手がけられています。
これはフェラーリが、自社の美学と哲学を“外注ではなく自らの手で表現する”という覚悟の表れ。
その結果生まれた812のデザインは、どこから見ても「フェラーリらしさ」に満ちた、まさに“ブランドの意思”が表れたスタイリングになっているのです。
2. 自然吸気V12の極致──エンジンは「心臓を撃ち抜く音」
812スーパーファストの最大の魅力。それは間違いなく、6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンにあります。
このエンジンは、フェラーリが70年以上にわたって磨き上げてきた“V12の集大成”。
ターボにも電動にも頼らない、ピュアなエンジン
今やほとんどのスーパーカーが、ターボやハイブリッドに頼る中で、812スーパーファストはあえて自然吸気エンジンにこだわりました。
それは、レスポンス、サウンド、そしてフィーリングすべてにおいて、「ドライバーの感覚と直結する」ことを最優先しているから。
アクセルを踏み込めば、回転数は一気に跳ね上がり、エンジンが“生き物”のように反応してきます。
ターボのような“間”が一切ない。ギアを落とし、回転を引っ張った瞬間、まるで自分の心拍とリンクしているかのような感覚を覚えます。
800馬力を叩き出す“官能の咆哮”
このV12は、最大出力800psを8,500rpmで発生。自然吸気でこのパワーは、世界最高レベルです。
しかも、トルクは7,000rpmで718Nm。高回転型でありながら、下からしっかりトルクが出る設定なので、どのギアでも鋭い加速が可能。
0-100km/h加速はわずか2.9秒。けれど、このクルマの真骨頂はその先にあります。
高速域からの再加速、中間加速、そして伸び続ける回転数──心地よい恐怖すら感じる加速感は、まさにV12の真骨頂です。
音は“聴く”のではなく“浴びる”
812スーパーファストのエンジンサウンドは、ただの騒音ではありません。
高回転まで引っ張ったときに鳴り響く甲高く乾いたサウンドは、まるでF1マシンのよう。
ただ耳に届く音ではなく、胸や背中を突き抜けるような「体感音」。
助手席に乗せた人も、無言になる。エンジンの“咆哮”に、誰もが圧倒されてしまう。そんな力があります。
しかも、リアマフラーからの音に加えて、インテークからの吸気音までチューニングされており、キャビン内でも「生音」が楽しめる設計。
この音が聞けるだけで、乗る理由になる。
それほど、812のV12は「感情に訴えかけるエンジン」なんです。
3. 意外と乗りやすい？日常も走れるグランドツアラー
「812スーパーファストみたいなモンスターカー、運転するのが怖そう…」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれど実際は、812は“本気で踏める日常車”とも言えるような、驚くほどフレンドリーな一面を持っています。
フェラーリ＝レースカーのような硬さ、は昔の話
最新の812は、マグネライド式アダプティブサスペンションを採用。
走行状況に応じて減衰力を瞬時に調整してくれるので、街乗りでは驚くほど柔らかく、段差や荒れた路面もスムーズにいなします。
コンフォートモードにすれば、路面からの衝撃をしっかり吸収し、長距離でも疲れにくい。
まさにGTカー（グランドツアラー）としての本領を発揮してくれます。
実際、多くのオーナーが「東京から京都まで走っても疲れない」と語るほど。
高速道路を走る時の安定感は、まさに“地を這う猛獣”のようです。
巨大なパワーを扱いやすくする“魔法の装備”
812には、様々な運転支援テクノロジーが詰め込まれています。
- 4輪操舵（バーチャル・ショートホイールベース）
低速ではリアタイヤが逆方向に動き、取り回しが良くなる。
Uターンも驚くほど小回りが効きます。 - F1-Trac + E-Diff（電子制御デフ）
滑りやすい路面でも、エンジンパワーを最適に配分してくれるので、安心してアクセルが踏める。 - マネッティーノ（走行モード切替）
ドライ・スポーツ・レースなど、状況に応じた設定をワンタッチで変更可能。
これらが連携して、800馬力という怪物パワーを驚くほどコントローラブルに仕立てているのです。
キャビンも快適そのもの──高級車としての顔も
インテリアは、レーシーでありながらも上質。
シートにはアルカンターラやプレミアムレザーが贅沢に使われ、フィット感も抜群。
ヒーター付きのシートやデュアルゾーンエアコンなど、快適装備も充実しています。
ナビゲーションやApple CarPlayなど、現代的なインフォテインメントも備えており、「乗るたびに気疲れするようなスパルタンさ」はありません。
走るだけじゃない。“旅”ができるフェラーリ
フェラーリといえば、サーキットや山道を全開で駆け抜けるイメージが強いですが、812スーパーファストは“旅を楽しめるフェラーリ”でもあります。
たとえば箱根や軽井沢に“812で行く週末”なんて、まさに夢のような時間。
スーツケースを積んで、V12の咆哮とともに「旅に出る」──そんな贅沢が、このクルマでは当たり前に叶います。
4. フェラーリの“歴史の証人”──812スーパーファストが持つ希少価値とは
812スーパーファストは、ただの“高性能車”では終わりません。
このクルマが特別視される最大の理由──それは、「最後のV12自然吸気フェラーリかもしれない」という歴史的な背景にあります。
時代の大きな転換点に登場した“象徴”
世界的にカーボンニュートラルが叫ばれ、各社が一斉に電動化やダウンサイジングへと舵を切る中、フェラーリも例外ではありません。
事実、今後のラインナップにはハイブリッドやEVが加わり、V12自然吸気エンジンの存続が危ぶまれているのが現状です。
そんな中で登場した812スーパーファストは、まさに時代の“最後の灯火”のような存在。
フェラーリが持つ“ピュアなエンジン哲学”を、限界まで突き詰めた集大成とも言える1台なのです。
限定ではないのに“コレクターズアイテム”化している理由
812スーパーファストは、特別な限定モデルではありません。
にもかかわらず、すでに世界中でリセール価格が高騰しており、一部では「走れる資産」「動く美術品」とも呼ばれています。
その理由は大きく3つ：
- 純粋なV12 NAエンジンを搭載している最後のモデルになる可能性が高い
- フェラーリの内製デザインとして、ブランドの方向性が明確に現れている
- 実用性とパフォーマンスを両立する“万能さ”に惚れ込んだ本物のファンが多い
加えて、812スーパーファストをベースとしたより限定的な「812コンペティツィオーネ」も登場し、それによってノーマル812の存在価値も再評価されています。
「自分のガレージに“歴史”を置く」──そんな言い方をするコレクターも少なくありません。
持つこと自体が“物語”になるクルマ
812スーパーファストの所有者は、ただのユーザーではなく、ある意味で“V12という文化の継承者”です。
ガレージでエンジンをかけるたび、
ワインディングでエンジンを唸らせるたび、
その音や振動が「フェラーリの魂」を生きたまま感じさせてくれる。
買う価値があるかどうか──というよりも、「この時代に812を持っている」という事実こそが価値。
それが812スーパーファストの唯一無二の魅力です。
フェラーリ812スーパーファストの価格帯（日本）
日本国内でのフェラーリ812スーパーファストの中古車価格は、年式や走行距離によって異なりますが、概ね以下の範囲となっています：
- 価格帯：約4,100万円～5,300万円
- 例：
- 2019年式、走行距離約6,000km：約4,482万円
- 2020年式、走行距離約4,100km：約5,020万円
これらの価格は、フェラーリ正規ディーラーや中古車販売サイトで確認できます。
🏁 同価格帯の高級スーパーカーとの比較
フェラーリ812スーパーファストと同等の価格帯で購入可能な主なスーパーカーを以下に比較します：
1. ランボルギーニ・アヴェンタドール
- 価格帯：約4,500万円～8,000万円
- 特徴：6.5L V12エンジン、最高出力700馬力以上、0-100km/h加速約2.9秒
- 備考：特別仕様車や限定モデルは価格がさらに高騰する傾向があります。
2. アストンマーティン・DBSスーパーレッジェーラ
- 価格帯：約2,400万円～3,000万円
- 特徴：5.2L V12ツインターボエンジン、最高出力715馬力、0-100km/h加速約3.4秒
- 備考：ラグジュアリーな内装と快適性を兼ね備えたGTカーとして評価されています。
3. マクラーレン720S
- 価格帯：約2,500万円～3,500万円
- 特徴：4.0L V8ツインターボエンジン、最高出力720馬力、0-100km/h加速約2.9秒
- 備考：軽量なカーボンファイバー構造と高い運動性能が特徴です。
価格まとめ
フェラーリ812スーパーファストは、自然吸気V12エンジンを搭載した希少なモデルであり、その価格帯は他のスーパーカーと比較しても高水準です。
特に、同じV12エンジンを搭載するランボルギーニ・アヴェンタドールとは価格帯が重なる部分もありますが、812スーパーファストはフェラーリならではのエレガンスと走行性能を兼ね備えています。
一方で、アストンマーティンやマクラーレンの同クラスモデルは、価格帯がやや下回る傾向にあり、選択肢として検討する価値があります。
最終的な選択は、デザイン、ブランド、走行性能、快適性など、個々の好みによって異なります。812スーパーファストは、その希少性とフェラーリの伝統を体現したモデルとして、特別な存在感を放っています。
まとめ｜812スーパーファストは“時代の頂点”を刻む1台
フェラーリ812スーパーファストは、ただ速いだけのスーパーカーではありません。
- 息を呑むような美しい機能美
- 心臓を震わせるV12自然吸気エンジン
- 毎日でも乗りたくなる快適なGT性能
- そして、未来に語り継がれるであろう歴史的価値
この1台には、フェラーリというブランドが積み上げてきた情熱と技術、そして“クルマ文化の粋”が凝縮されています。
もしあなたが「一生モノのクルマ」と出会いたいなら、
812スーパーファストは、間違いなくその候補に値します。
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